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電波型式について

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 無線機器や無線モジュールの仕様書、電波法がらみの資料を見ているとF1D、F2D、A3Eなどの記号が出てきますが、これは電波型式を表します。
電波型式は電波法施行規則第4条-2で、電波の主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の性質、伝送情報の型式が規定されています。以下に無線モジュールに関連した部分を抜粋してみます。

F1Dの場合は「周波数変調」、「デジタル信号である単一チャンネルのもの」で「変調のための副搬送波を使用しないもの」、「データ伝送、遠隔測定又は遠隔指令」 を意味します。

1.主搬送波の変調の型式 記号
(1)無変調 N
(2)振幅変調  
  ①両側波帯 A
  ②全搬送波による単側波帯 H
  ③低減搬送波による単側波帯 R
  ④抑圧搬送波による単側波帯 J
  ⑤独立側波帯 B
  ⑥残留側波帯 C
(3)角度変調  
  ①周波数変調 F
  ②位相変調 G
(4)同時に、又は一定の順序で振幅変調及び角度変調を行なうもの D
(5)パルス変調
  ①無変調パルス列 P
  ②変調パルス列 K
   ア 振幅変調 L
   イ 振幅変調又は時間変調 M
   ウ 位置変調又は位相変調 Q
   エ パルスの期間中に搬送波を角度変調するもの V
   オ アからエまでの各変調の組合せ又は他の方法によって変調するもの  
((6) (1)から(5)までに該当しないものであって、同時に、又は一定の順序で振幅変調、角度変調又はパルス変調のうちの2以上を組み合わせて行なうもの W
(7)その他のもの X
2.主搬送波を変調する信号の性質 記号
(1)変調信号の無いもの 0
(2)デジタル信号である単一チャンネルのもの  
  ①変調のための副搬送波を使用しないもの 1
  ②変調のための副搬送波を使用するもの 2
(3)アナログ信号である単一チャンネルのもの 3
(4)デジタル信号である2以上のチャンネルのもの 7
(5)アナログ信号である2以上のチャンネルのもの 8
(6)デジタル信号の1又は2以上のチャンネルとアナログ信号の1又は2以上のチャンネルを複合すたもの 9
(7)その他のもの X
3.伝送情報の型式 記号
(1)無情報 N
(2)電信  
  ①聴覚受信を目的とするもの A
  ②自動受信を目的とするもの B
(3)ファクシミリ C
(4)データ伝送、遠隔測定又は遠隔指令 D
(5)電話(音響の放送を含む) E
(6)テレビジョン(映像に限る) F
(7)(1)~(6)までの型式の組み合わせのもの W
(8)その他のもの X

仕様書の見かた

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無線機器の仕様書のうち主な項目についてSTD-T67を例にとって説明します。

◆ 総合特性

適合規格 準拠しているARIBの標準規格を表します。
チャンネルスパン 標準規格で決められている使用周波数帯域での各チャンネル間の周波数を表します。
チャンネル数 標準規格で決められている使用周波数帯域で、その機器が使用しているチャンネル数を表します。
データ信号速度
(ビットレート)
無線伝送や一般的な伝送において、データ信号そのものをどのくらいのスピードで処理しているかを表します。
単位はビット/秒(bps)で表します。いくら仕様書のデータ信号速度が速くても、送信受信の切り替え時間やプロトコル処理に時間がかかっているものは実際のデータ伝送速度は遅くなります。
変調速度(ボーレート) 単位時間内の変調回数を表し、単位はボー(baud)です。一般にボーレートと呼ばれていますが、ビットレートと混同されている場合がありますが厳密には違います。変調には多値変調があり、同じボーレートでもビットレートが違いますし、データを並列に伝送するような場合もその度合いによって送受信間のビットレートが違ってきます。
データ伝送速度 送信機と受信機の間を流れる単位時間内の平均データ量を表し、単位はビット/秒や文字/秒、文字/分などで表します。実際の伝送ではデータに、エラー制御や機器識別などの制御データが付加されたり、データエラーが発生した場合には再送処理などが行われます。このためデータ伝送速度はデータ信号速度に比べ当然遅くなります。
電波型式 電波法施行規則で規定されている電波の型式のことです。
F1D、F2D、G1Dのように表示されていますが、「主搬送波の変調の型式」、「主搬送波を変調する信号の性質」、「伝送情報の型式」のそれぞれの分類に対応する記号の組み合わせで表示します。
ちなみ最初のFは周波数変調、Gは位相変調、次の数字1は「副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャンネル」を表し、最後のDは「データ伝送、遠隔測定、遠隔指令」を表します。
通信方式 通信方式には双方向通信と単向通信があり、双方向通信には単信通信と複信通信があります。
送信出力 特定小電力機器は10mW以下に制限されています。
到達距離 メーカでは見通しの効く場所でのテスト結果を載せてありますが、距離は使用する環境で随分違ってきますので参考程度にみます。周囲の建物や人、車、自然物の形状などで違い、雨や雪でも違ってきます。また、大地の湿度でも影響されます。
また、同じ条件ならば使用する周波数の波長が短くなるほど到達距離が短くなります。

◆ 送信装置特性

空中線電力 使用する周波数チャンネルによって出力が違いますが、400MHz帯は1mW以下と10mW以下があり、1200MHz帯では10mW以下となっています。
周波数の許容偏差 標準符号化試験信号を変調入力として測定し、400、1200MHz帯で
4×10-6(±4ppm)となっています。ただし、1200MHz帯のチャンネル間隔が25kHzのものは±3×10-6(±3ppm)以内となっています。
隣接チャンネル漏えい電力 標準符号化試験信号により変調した場合で、キャリア周波数から12.5kHz離れた周波数の±4.25kHzの帯域に輻射される電力と、キャリア電力との比が40dB以上低いこととされています。
周波数の違いや、チャンネル間隔の違いで規定値が違います。
 
スプリアス発射の強度 スプリアスは目的の電波以外に出てしまう不要輻射のことで、この許容値が標準規格で決められています。
特定小電力機器の場合は2.5μW(-26dBm)以下となっています。

◆ 受信装置特性

符号基準感度 受信装置に標準符号化試験信号を加えた場合の出力のビットエラー率が1×10-2となるための受信機入力電圧が規定されています。

チャンネル間隔が12.5kHz、25kHzは2μV以下、チャンネル間隔が50kHzのものは2.8μV以下となっています。
実効選択度における
スプリアス・レスポンス
実効選択度におけるスプリアス・レスポンスは40dB以上とされています。
隣接チャンネル選択度 400MHz帯と1200MHz帯での隣接チャンネル選択度が規定されています。400MHzは30dB以上、1200MHzは40dB以上となっています。
局部発振器の周波数変動 標準規格で局部発振器の周波数変動の範囲が規定されています。
400MHz帯、1200MHz帯でチャンネル間隔が50kHzの場合は±4×10-6以内、25kHzの場合は±3×10-6以内とされています。
副次発射 標準規格で副次的に発する電波等の限度が4nW(-54dBm)以下と規定されています

どの周波数でも勝手に使って良いのですか?

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電波法では特定無線設備(機器)に対してそれぞれの周波数が決められています。この範囲以外は電波法違反になってしまいます。一般的な無線モジュールを使用する場合はメーカで規定範囲を守っているので問題ありませんが、高周波部を設計する場合は詳細を調べて下さい。

特定無線設備 割り当て周波数
微弱無線機器 どの周波数でも自由に使えます。
特定小電力機器(1) テレメータ用、
テレコントロール用及びデータ伝送用
400MHz帯、1200MHz帯で多くの割り当てがあります。
小電力データ通信システム 2400~2483.5MHz、 2471~2497MHz
市民ラジオ 26.968  26.976  27.040  27.080
27.088  27.112  27.120  27.144MHz
小電力セキュリティ 426.25~426.8375MHz

◆微弱無線機器
微弱無線機器は電界強度で規定されており、使用周波数はどの周波数を使っても良いことになっていますが、実際には500μ/mが確保できる322MHz以下の周波数が使用されています。どの周波数を使っても良いので運用上は便利ですが、反面他の機器と周波数が重なり干渉の問題を起こすことがあります。オペレーティングレンジは10m程度で、信頼性の点から産業分野ではあまり使用しません。

どのくらい飛ぶの?

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ユーザーにとってどのくらいのオペレーティングレンジ(通信距離)があるのかは気になるところで、機器メーカにおいても通信距離は重要な項目です。
 仕様書には長く書きたいのですが、実際にユーザーが使用した時にその数値に対し懐疑的になられても困ります。従って仕様書には一般的に「通信距離は使用する環境で違います。」などと書かれていますが、実際に通信試験を行なってください。

◆受信感度
 電波法の規定する出力の範囲での通信距離の差は、その無線機器の性能の良し悪しを示しています。通信距離は色々な条件で変わってしまうため仕様書には明記されていない場合がありますが、受信感度は必ず明記してあるのでそれを比較しましょう。

◆周波数によって違う
 使用する周波数によって通信距離が違ってきます。電波は周波数が高いほど直進性が高くなり、伝搬損失も多くなるので通信距離が短くなってしまいます。400MHzの電波には回折現象があり、直進性の高い2.4GHzの電波より通信距離が長くなります。

◆変調方式による違い
ASKはFSKやPSKに比べ周囲のノイズの影響を受けやすく、電波が到達していてもデータエラーとなる事があります。

◆オペレーティングレンジを広げるには

ゲインアンテナを使用する
 受信専用機においてはアンテナを自由に選ぶことができます。性能の良いゲインアンテナを使用すればレンジ拡大が期待できます。色々なアンテナでフィールドテストを行い決定して下さい。
 技術基準適合証明取得済みの特定小電力機器のアンテナは電波法で改造が禁止されています。

設計に注意する
 無線モジュールを使用する場合は仕様書の受信感度値を下げないように設計する事が大切になります。また極力エラーが起こらないようにします。次の点に注意しましょう。 

無線モジュール組み込みシステム内のCPUやその他のデバイスからのノイズを受けないようにする。
システムのコントロールスイッチなどから出るノイズを減らす。
受信機を設置する場所の周辺にあるノイズから遠ざける。
アンテナの取り付け方に十分気をつける。

無線モジュールの組み込み方

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◆内部ノイズに対する対策
 無線モジュールを組み込む機器の多くは高速で動作するCPUやロジック回路を搭載することになります。これらはそのコントロール信号の立ち上がりや立ち上がりで高周波ノイズとなる高調波が発生し、これが使用周波数帯に悪影響を与えます。受信機や送信機のアンテナにこのノイズが入り込まないように何らかの対策をしなければなりません。次に無線モジュールを組み込む場合に注意することを列挙してみます。ただしすべての無線モジュールに適用できるとは限りませんが参考にして下さい。

組み込むケースはABS樹脂などの電波を通す材料の物とします。金属ケースは電波を輻射、キャッチできません。金属ケースに組み込む場合は無線モジュール本体のみとし、アンテナは外部に出し、無線モジュール本体は金属ケースに電気的に接続し電位差が無いようにします。導電性塗装のケースも同様です。
無線モジュールやアンテナをノイズ源からできるだけ離すようにします。
送信機と受信機のアンテナは電波の偏波面が合っていないと効率の良い通信が出来ず通信距離が伸びなかったり、エラーの原因となります。送信機のアンテナを垂直にしたら受信機も垂直にします。使用状況を考慮してアンテナを組み込みます。
無線モジュールをノイズ発生源と一緒に組み込むような場合は必ず同軸ケーブルを使用してアンテナと接続します。インピーダンスマッチングが取れていないアンテナ回路は電波の反射などの問題を引き起こし、効率が悪いばかりでなく機器に悪影響をもたらします。
無線モジュールのコントロール用CPUやその他のロジックの信号ラインはノイズの発生源になるので出来るだけ短くします。
無線モジュールの電源は専用レギュレータを使ってノイズ源である他のデジタル回路の電源と別にします。それが出来ない場合は本体電源の直後から取り、RFデカップリングを施します。RFデカップリングはノイズ周波数を適切にカットできるようなCRフィルタ、LCフィルタ、EMIフィルタなどを使用します。
同じケース内に組み込む場合は出来るだけ他の回路から離して接地し、シールド板などで分離します。
コントロール回路の基板に無線モジュールを取り付ける場合は、コントロール回路のGNDを出来る限り大きなベタアースとして下さい。電源ラインは電源回路の直後から取り、RFデカップリングを行ないます。また、ノイズ源から出来るだけ離すために他のデジタル回路が載っている面の裏に取り付けるようにします。
アンテナ付きのものは取り替えてはいけません。新規設計する場合はλ/4の長さにします。
CPUに使用されるクロック周波数が使用無線周波数の整数分の1、あるいはその近辺になっていないか調べてください。このクロック回路から出る高調波は無線回路に悪影響を与えます。

図:無線モジュールの組み込み方

機器の輸出と輸入について

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◆機器の輸入
 当然の事ですが、海外製品を国内で販売したり使用したりする場合は、電波法の規定に従わなければなりません。特定小電力機器の場合は技術基準適合証明を受けなければなりません。違法状態で使用すれば罰則がありますし、他の人に迷惑がかかります。
 海外製品の輸入で特に注意したいのはパワーで、比較的大きい物が多いようです。TELEC等で行なう試験に合致するか事前のチェックが重要です。
 ISMバンドのスペクトラム拡散通信を使用した機器の場合、TELEC等で行なう試験に対応しているかなども重要なポイントになります。試験では連続送信モードや連続受信モードにしたり、標準符号化試験信号を加える端子か機能が必要とされます。

◆機器の輸出
当然、輸出先相手国にも電波法に相当する法律があります。

◆ISMバンドの機器
ISMバンドは全世界で共通の周波数帯域であることが良く言われていますが、各国でその基準に微妙な違いがあるので十分調査する必要があります。
違法状態の無線モジュールや機器を販売することが無いよう注意します。

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